心臓病 のち うつ病 ときどき 腸閉塞

どん底からの復活をめざして…

星野JAPANの夢、潰える

北京五輪、星野JAPANが準決勝で韓国に敗退。
3位決定戦でもアメリカに敗れてしまい、メダル獲得はならなかった。
「金メダルしかいらない」と公言していた闘将・星野監督
敗戦の将となってしまった。

健闘をたたえ、労をねぎらいたい一方
現実を重く受け止め、厳しい評価もしたい。
二つの思いと感情が複雑に交錯し、
気持ちに整理がつかない。

野球の経験も、専門的な知識もない者が論評できる筋合いはないのだが
野球を愛し、野球観戦が単なる趣味ではなく生活の一部となっている私にとっては
どうしても心の内を吐露したかった。
あえてここに私見を記すことを許されたい。

まず、メンバーの問題。
候補に上がったメンバーを見ると、新井、稲葉などの故障者や、
2軍で調整を続けていた上原など、調子が良くない選手が目立った。
合宿でも川崎や西岡、村田などがケガや体調不良で戦列を離れ、
直前の壮行試合でも川上が炎上するなど、
正直これで大丈夫か?と思ったのは私だけではないはずだ。
しかし、これが星野監督が選んだ、
いや、選ばざるを得なかったベストメンバーだというのが現実だ。
これは深く掘り下げていけば、故障に強く、経験が豊富で、
長年好調を維持しているイチローや松坂のような選手が
いかに少ないかということにも繋がる。
そして、そのような選手はメジャーへ流出し、
五輪で日本代表のユニフォームを着ることができなかったのだ。
イチロー、松坂、城島、福留らが出場できていれば
WBCのように、また違った試合展開になっていたかも知れない。

そして、采配。
元西武監督の伊東勤氏や、ロス五輪で監督を務めた松永氏もコメントしていたが、
投手を温存しすぎた感がある。
ローテやいわゆる「勝利の方程式」に頼りすぎたのではないだろうか。
特に短期決戦やトーナメントは負ければそこで終わり。
結果論ではあるが、女子ソフトボール・上野投手の連投をみれば、
もっと投手をフル稼働してもよかったのではないだろうか。

次に、国際化への対応。
韓国は昨年の五輪予選で日本に惨敗し、徹底して国際化に取り組んだ。
韓国プロ野球では今シーズンからストライクゾーンを変更し、マウンドの高さを下げ、
使用球も替えた。これらすべてを国際基準に合わせるよう、
球界を挙げて対応してきたのだ。
そして、五輪期間中ペナントレースは中断。
その結果、全勝で金メダル。
日本ではどうだろう?
一昨年、二段モーションが禁止された程度で、
選手はこぞって「国際試合やメジャーでは球が違うのでやりにくい」と口にする。
五輪での野球は今年限りとなるが、
これからもWBCやメジャー進出が続くことを考えると
ボールやルールを国際基準に合わせていくことは必要だと思う。
また、メジャーや韓国・台湾・キューバなどの強豪と
どんどん交流試合をしていくべきだと思うし、
国内でのプロ・アマの交流も積極的になされ、野球界全体の底上げが必要だと思う。
個人的にはサッカーでいう「天皇杯」のようなプロアマ混合のトーナメントを
ぜひ実施してもらいたい。

最後に、国を挙げての応援と力強いサポートも必要。
サッカーでもそうだが、韓国は特に日本に対しては絶対に負けたくないという
国民や選手のナショナリズムが感じられるし、
五輪で好成績を挙げれば兵役が免除されるという特例が用意されている。
キューバでも、活躍した選手は特別な待遇が用意されている。
一方、日本のプロ野球界では年俸が高騰し、複数年契約も増えてきた。
もちろん、一流のプロはお金を稼いで当然なのだが、
すでに高額を稼いでいる日本の選手達が、国際大会を戦い抜くには
モチベーションを維持するのも大変だろうし、プレッシャーも相当なものだろう。
また、見る側にも問題がないとは言えない。
大して野球に興味も感心もなく、応援もしていない人々が、
星野JAPANの結果だけに対して「ダメだな」と切り捨てるのも許せないし
今日もタブロイド紙には「星野JAPANの戦犯」の見出しが躍っていた。
書く方も書く方なら、買う方も買う方だ。
テレビ中継では北京まで行って阪神タイガースのユニを着て騒いでいるファンが
何度も映っていたが、これも明らかに場違いだと思う。
とにかく、サッカーのワールドカップのような、国民全体の盛り上がりも必要だと思う。
ただし、この盛り上がりには「強さ」が必要ではあるのだが…。

色々勝手なことを書いてしまったが、
私は現在の日本の野球を憂うと同時に、復活を期待せずにはいられない。
この悔しさを忘れずに、WBCでのリベンジと今後の日本野球の発展を心から願う。

星野JAPAN、お疲れ様…。